ゴッホの作品にはよく青色と黄色の美しいコントラストが見られますが、この『星月夜』にもその色彩対比を見ることができます。

サン＝レミの精神病院では、ゴッホは限られた環境の中で創作を続けました。彼は病院の庭や周辺の風景を描き、感情のうねりをキャンバスにぶつけました。「星月夜」や「オリーブの木」シリーズは、この時期の代表作です。特に、「星月夜」は、ゴッホの内なる混乱と宇宙への深い憧れを象徴する作品として知られています。渦巻く星空と静かな村の対比は、彼の精神状態を反映しつつ、普遍的な美しさを表現しています。ゴッホは、精神的な苦悩を芸術に昇華させることで、自己を救おうとしました。この時期の作品は、色彩と筆致がさらに大胆になり、感情の直接的な表現として評価されています。彼は、病院の窓から見える風景や記憶の中のイメージを描き、創造力を維持しました。ゴッホの作品には、苦悩の中にあっても希望を見出そうとする強い意志が感じられます。この時期、ゴッホは自然の美しさや宇宙の神秘に深い関心を持ち、それを作品に込めました。サン＝レミでの創作は、ゴッホの芸術的ビジョンがさらに深化した時期であり、彼の内面的な闘いが作品に力強い生命力を与えました。ゴッホの創造力は、どんな環境でも止まることはありませんでした。

そこで登場するキーパーソンが、当時グーピル商会で働いていた弟テオです。見かねて、ゴッホに金銭援助を始めたのです。

サン＝レミ時代、不安な気持ちを表すかのような渦やうねりが、ゴッホの作品に登場します。《星月夜》は、その代表的な例ですね。

ガシェは医師でありながら、自らも絵画をたしなむ“日曜画家”です。そして絵画のコレクターでもありました。ゴッホにとってガシェは、医師であると共に友人でもあり、良き理解者になったのです。

住まいを移すきっかけには、いつも不器用な生きざまが関係しています。父親とささいなことで口論になって家を飛び出したり、教授と画風のことで意見が合わず学校を辞めてしまったり……。自分の感情に正直に、そしてまっすぐに生きた人だったのでしょう。

それから、心機一転、イギリスで貧しい家庭の子ども達が通う学校で、教師の仕事をしたり、オランダで書店の仕事に就きます。

このほかにも番組はぞくぞく放送予定！　決まり次第お知らせいたします。

そしてゴッホは生活費はもちろん画材の購入も困難になり、この地で絵を描き続けることは絶望的になります。

伝道師の道も絶たれたゴッホは、他になすすべがなくなり、途方に暮れてしまいました。

アルバイトのような形で『伝道師』として仕事を始めますが、こちらも試用期間で解雇されます。

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この頃からゴッホはそれまでと一転し、大の教会嫌いになってしまいます。しかし、実際は絵のなかに小さな教会を描き続けていました。これはゴッホ自らに根づいた宗教心の表れだったのかもしれません。

そしてゴーギャンと画家として共に栄光の未来を掴むための協力者を失ったと絶望したゴッホは、クリスマス・イヴにカミソリで自分の耳を切り落とし、娼婦の一人に「僕のことを忘れないで」と、切り落とした耳を渡します。